「そう言ったのは水瀬くんの方よ」
真実を裏に隠しながらあたしはあくまで本当の事を述べたまでだ。水瀬くんの不満にもあたしは涼しく言い返した。
「だからって生徒を苛める?」
「別に苛めてなどいないわ」
「でも俺には苛めてる感じがする〜」
「あたしはあくまで事実として述べただけですから。水瀬くんの勝手な勘違いも困ったものね」
「マリーちゃんがボクちんを苛めるから」うるうると瞳を潤ませた姿が却ってわざとらしい。
「勝手に言ってなさい」
一向に進展の見えない平行線上をずっと保っている水瀬くんをこれ以上相手にしてはきりがないのは見えていた。
それは彼の作戦の内なのかもしれない。いつ相手からの強制終了がかかっても可笑しくない会話をあの手この手で長引かせていっぱい喋ろうとより多くの時間を稼ごうとしている。一度水瀬くんのペースに巻き込まれてしまうとそれは蟻地獄のように嵌まってしまい、なかなかその場を抜け出す事が難しいのは今までの経験上重々承知しているからあたしはその判断が手遅れとならない内に話を一方的に切り上げてその場を離れようとしたら突然水瀬くんが思いもしなかった事を口にしてきた。水瀬くんもまたそのまま黙ってなどいなかった。
「マリーちゃんって今、男とかいるの?」
するとあたしは石のように立ち止まった。油が切れて思うように動けないロボットのようにぎぎぎっとぎこちなく振り向く。
「何でそんな事を訊くの?」
あたしはその場で笑って誤魔化そうとしたのだが、口元が引き攣って思うような笑顔すら出来ない。
そこにどんな意味があるのだろう。あたしが今一番訊かれたくないものだった。あたしはかなりの痛手を負わされた
「気になったから単純に」
「…………………………」
誰もいなかった、今は。一番最後の彼との突然な別れを迎えてから今まで一度たりとも。誰もあたしの隣に座っている特別な人はいない。それまでにも何度か男性から告白をされたりした事はあってもあたしはその返事を全て断り続けていた。その裏には自分しか知りえない大きな影が明らかに影響している。それは経験した者にしか解らない気持ちでもあった。
「じゃあ候補として名を挙げてもいい?」
「候補?一体何の?」
その意味を理解できず、あたしは瞬きを繰り返した。後にあたしは後悔する事となる。自らいらぬバトンを彼に直接渡してしまって。水瀬くんが意味する事とは。次の瞬間、彼の口からは絶対に聞きたくない言葉だった。
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- 2007/11/30(金) 23:57:57|
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あたしは苦笑した。
約束すらちゃんと守られるのかどうかも判らない事を出してくるなんて水瀬くんもまた大きく出たわね。
「本当は俺がここにいられる時間ぎりぎりまで山程マリーちゃんに質問攻めをしたい程なんだけど、ただでさえ俺ってマリーちゃんに色々と迷惑かけてるし、これ以上嫌われたくはないんでね」
「…………………………」
胸がちくんとした。突然の痛みがあたしに襲い掛かってくる。あたしを見て、少し寂しそうな表情を浮かべる水瀬くんを見て。そこで違う、という事すらあたしは正直に言えなかった。
やっぱり気付いているのかしら?あれだけあんな態度で接していれば気付かない方も可笑しいわよね。全然気付いてなかったら最早水瀬くんの性格もお気楽としか言えないわね。
流石に水瀬くんがその核となる部分までには至らなくても。見ているだけで薄々と察していたのだろう。水瀬くんが今までにも全然そのような素振りさえ見せなくても。ただ、水瀬くんが今まで口にして言わなかっただけで。
何故なのか。それは全てあたし自身の問題。それは半分以上、個人的な私情が含まれている。
たった一点を除いて。水瀬くんがこの高校に入学してくる前のたった一つの出来事があたしを支配している。
一応理解はしているんだ、水瀬くん。あれだけ冷たい態度を一人の生徒に対して毎日していれば。
「…………………………」
でも言えない、その理由を。何もその真実を話さないのは一番卑怯なのかもしれないが、ここは何歩であろうとも絶対に譲れない。彼のその様子だとあたしが思っているものとは全く違う意味に捉えているのは確かだが、今はそのままで通して貰う事にした。もしもそこで違うってはっきり言ってしまえば何故そうなのかって振られたくもない核心に触れられてしまうから。
あたしが抱えている個人的な感情を他人に晒す訳にもいかない。それは自らの過去への封印の紐を解いてしまうのだけは。誰にも知られたくない大きな秘密。もうずっと抱えている大きな爆弾。
「確かに毎日保健室にやってくるこんな問題児を好む方が可笑しいわよね。 ねぇ、水瀬くん」
この場では敢えて自分の感情を押し殺し、小さく鼻で笑いながらさり気なくあたしは一人のとても物好きな生徒の事を話題にして挙げると痛いところを突かれた水瀬くんは忽ち苦い表情をしていた。
「相変わらずきっついな、マリーちゃん。平然として言う事が容赦ない。ボクちんの心なんかもうずたずた」
物凄く嫌な顔をしていたが、冗談を口にして言えるぐらいならまだまだ大丈夫そうである。
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- 2007/11/27(火) 23:40:16|
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今日もまた小説の更新がありませんね。今日小説を見にひっそりとやってきたそんな貴重なお方々、申し訳ありません。できれば明日、もしもできなければ明後日にでも(こらこら)。
それに今日はサイト版の更新をやりましたし、小説を読んでみたいと思ってくれたらそっちへGo!です。新作ですのよ。
何かサイト版を見て思ったんですけど、それはタイトル通り。まめに更新です。珍しい。頑張ってんじゃん、俺。その内一つが頂き物であるという突っ込みはしないように。
今日は前々からその存在は知っていたのですが、やっと聴きました。『コラムの花道』その内容は『大人気・ケータイ小説をめった斬り』です。
すげーよ、これ。本当にめった斬りです。22分ぐらいなんですけど、ネットからでも聴けます。
まぁその中である作品も斬られていました。今月映画になった作品なんですけどね。
しかも放送されているラジオ局が……。だから凄い。
- 2007/11/26(月) 00:03:34|
- 水谷ゆかの独り言|
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というのを考えています。それにもうそろそろ来月用のを書かないといけませんしね。でもその前に色々とやらないといけないので他の執筆をしながら考えてたいと思っていますが、まずそれは無理だろう、と。それをやりながらもう一方という器用な真似が全然できません。初めからできていたら苦労はしないと思う。
連載小説といっても一話完結で進む予定だし、展開にも終わりという結末が見えなさそうだから余り連載ではないような気もしてくるが、その辺の突っ込みは余りしないように。時間軸も関係なく書きそうだから。
お題配布サイト用の検索サイトを偶々見付けてそこに登録されてあるサイト様のを使用予定。大人向きのお題ですよ。今までは微エロであっても中にはピンクさんがついてなかったりしていたのですが、今回はどうなる事やら…。もしかしたらの可能性もある。
今までは様々な男女カップリングの話をweb拍手に載せて一ヵ月後にはサイトにアップしていますが、これは一組のカップリングのみとなっています。
どんな話になるんだろう。今の時点で考えている話は普通にいちゃこらをさせている内容。お題も全てそんな感じがするものを拝借しましたので。他サイト様にある鬼畜系なのもちと惹かれたんですけど、今回はなしという方向で。
今、ちょっとそのお題でネタが思い付いた。あれか、あれだな。そんなに多くないし、大丈夫だろう。後でページでも作りましょうかね。
……しかし、まだ一つもお題をフルコンプしていないというのに次から次へと借りるのもどうかと思いますが、いいの、時間を掛けてもちゃんと全部書くから。
- 2007/11/24(土) 23:32:13|
- 水谷ゆかの独り言|
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この時点でそれは破られているという鋭い突っ込みはなしです。まぁ多分誰も見ていないと思うから大丈夫だろう(妙な自信)。チャットとかがないと滅多に人前に出てこないという水谷ゆかです。常に影でこそりこそりと一人寂しく寒く執筆中です。
寒いよ、今。暖房を焚いていないという訳でもないのに寒い。ぶるぶるしてます。何か鼻も変な感じ。
この間、大分前に買った本を売ってきたんですね。それで嫌になるぐらい勉強になったのは『売るならさっさと売れ』です。いやー、大していい値で買い取ってはくれないって事が。
その前に高値で買い取ってくれる本とかを買っている訳じゃないから凄く微妙な感じもしてしまいますが。今度はそういうのを狙った方がいいのかしら?でもあたしってなかなかそういうのを買おうとしませんからね。
全部の値段を合計したら確実に万単位になるというのに買取価格は千円単位という現実(遠い目)。まだ売りたい本とかあるから近い内にまた行くかと思う。ブックオフ(敢えてここは伏せないよ)。
次の本は全て状態がいいという本ばかり。本焼けはしていませんのよ。逆に疑われない事を願おう。ほぼ新品同様で保っているから。
そういうのって何年も経っていたりするとどのくらいで買い取ってくれるのだろうか。拒否はされないだろう、今度こそ(今までは必ず買取拒否が起きる)。
- 2007/11/22(木) 23:52:30|
- その他|
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